姫+シルク糸

ウォッシャブル絹100%糸「姫+シルク糸」

純国産生糸「松岡姫」を、ニット用シルク糸に特殊カバリング。
シルクの光沢・肌ざわり・しなやかさなどの絹の長所をそのままに、
イージーケアで「洗える」全く新しいシルクが誕生しました。

お田植(稲作)とご養蚕(繭づくり)は、今に受け継がれる日本文化の象徴として、ご皇室の伝統行事です。
新皇后雅子様も、(一財)大日本蚕糸会の御養蚕所主任の補助により、お蚕様へ給桑され育まれています。
1868年以降の日本の近代化は、生糸の輸出が支えました。
世界が認める蚕品種「松岡姫」は、小石丸、又昔と並ぶ優良蚕種として「廣告」(明治三四年)が残されています。

明治維新後、山形県庄内地方のサムライ(荘内藩士)3000人が、松ヶ岡地区を桑園に開墾し蚕室を建て、繭生産に励みました。
しかし日本の養蚕は1930年(昭和5年)をピークに減産の一途をたどり、現在では、純国産の絹製品は、日本国内の絹製品流通量のわずか0.3%未満ともいわれています。

日本の蚕糸絹業文化を守るため、京都室町の織物メーカー伊と幸では、1997年、繭・生糸から絹織物までの統一ブランドとして「松岡姫」をスタートしました。
「姫+シルク糸」は、この生糸「松岡姫」を用いて、ニット用シルク糸を特殊カバリングした、全く新しい天然原料によるウオッシャブル絹100%糸のことです。

人にも環境にもやさしいシルク

人との親和性

人の肌や髪爪など、人体を作るたんぱく質のアミノ酸は20種あるといわれています。そのうち、18種類のアミノ酸を、シルクたんぱく質が持ち合わせています。シルクは人との親和性が高く、医療用シルク縫合糸があるように、生体適合性を有しています。

絹の放湿性

人は1日に1.5~2Lもの水分を汗として発散しています。絹は水と結合する親水基をもちすばやく吸湿し放湿します。絹の快適性は調湿効果により、肌の快適性を守り、アトビー改善にも寄与します。

サステナブル素材

今全人類は、化学繊維の大量廃棄、洗濯時のマイクロプラスチック問題、石油資源の枯渇、地球温暖化への影響等、地球規模のの社会課題に対峙しています。シルク製品は、天然繊維です。養蚕は広い桑園を必要としますので、山野の荒廃を防ぎ国土の自然を守ります。絹製品はたとえ、発火しても自消し、有害物質を発しません。食用のシルク蛋白があるように、食しても問題ないほど無害です。生分解性であり自然に帰り、環境負荷をかけません。シルク産業は、人にも環境にもやさしい持続可能な未来を創る産業です。

「姫+シルク糸」の仕組み


芯糸となる絹紡糸に、生糸「松岡姫」をクロスカバリング

繭一粒から繰り出した生糸(Raw Silk)は、長さ1.5kmにも及び、お蚕様が吐糸したときから自然に硬化した天然たんぱく質の長繊維(フィラメント)です。繭糸の三角形の断面は、中央にフィブロイン、周りにセリシン層があります。三角形の断面がプリズム効果になって、美しい光沢を発します。
一方、絹紡糸(Span Silk)は繭綿短繊維から紡績した、ふくらみのあるニット用のシルク糸です。(スパン糸)
生糸「松岡姫」の特性を生かし、絹紡糸を芯糸にして、松岡姫をクロスカバリングしています。ニット用のシルク糸のふっくらした風合いと、絹ならではの光沢感の相乗効果が生まれています。

糸づくりからのウォッシャブル加工


天然原料による特殊タンパク質が糸深部まで浸透

従来型の樹脂コーティングは、絹の繊維表面まで樹脂に覆われていました。既存主流は、樹脂含浸による架橋結合によるウオッシャブル化です。
姫+糸では、天然原料のみを用いてウオッシャブル化しています。芯糸になるシルク糸(絹紡糸)の深部に、天然原料の特殊たんぱく質を浸透させ、形状安定性を確保しています。加えて、極細の生糸「松岡姫」を使い、クロスカバリングすることで、繊維表面に光沢感をもたらし、天然たんぱく質による表面の擦れ防止効果にもつながっています。
製品における耐洗濯性能は担保されており、寸法変化率6未満で、35℃のぬるま湯でネット使用であれば、マシンウオッシュが可能です。